今を生きる

多くの人にとって、「今を生きる」ということは簡単ではありません。
私たちの心や意識は、過去の記憶や未来の計画のあいだを行ったり来たりしてしまうからです。

欲望と野心が生む心の揺れ

東洋の哲学では、私たちの生き方は目に見えないエネルギーの働きと深く関係していると考えられています。
例えば中国の思想では「陰と陽」という二つの力があり、すべての現象はこの対となる性質のバランスによって成り立つとされています。

この陰と陽は、私たちの内面にも表れていると考えられます。陰は過去への傾きや内側への意識、記憶や感情、静けさや受動性といった側面と結びつき、陽は未来への志向や外へ向かう意識、計画や目標、行動力や拡張性といった側面と関連づけられます。私たちの心は、この二つの間を絶えず行き来しながら、過去への思いと未来への期待のあいだで揺れ動いているのです。

しかし同時に、その間には「中庸」や「中心の通り道」とも言えるバランスの取れた状態が存在すると考えられています。そこでは、心の動きが静まり、過去や未来に引き寄せられることなく、自然と今この瞬間の静けさを体験することができます。

サハジャヨガと今という瞬間

ヨガにも同じような知識が存在しています。人の体には三つのエネルギーの通り道(ナディ)があるとされ、それぞれが異なる働きを持っていると考えられています。右と左の二つの流れは、活動や思考、感情や記憶といった内面的な動きに関係し、そのバランスが崩れると心も不安定になりやすいとされています。

そしてその中心には、静けさと安定をもたらす中央の通り道があるとされています。この中心の流れが整うことで、人は過去や未来への過度な傾きから離れ、今この瞬間の中に安らぎを感じる状態へと導かれます。

サハジャヨガでは、クンダリーニと呼ばれる内なるエネルギーの働きによって、この三つのエネルギーのバランスを自然に整えることができるとされています。特別な努力や複雑な技術を必要とせず、内側の目覚めを通して、心と意識が中心へと戻っていく体験が促されるのです。

結び

過去と未来の影から解放され、まさにこの瞬間の光の中で生きること——それこそが本当の自由であり、サハジャヨガが私たちに示す悟りへの道なのです。

忙しく過ぎ去って行く 早すぎる時の中で
今しか出来ない
事ばかりの
毎日を生きている
(“Paper cuts”, by EXO-CBX)